ICO

エンディング〜そして霧の中へ〜


枠外はセーブポイント名及び実際にゲーム中でキャラが語る言葉です(2周目)

クイーンが消えたのと呼応するように、お城がだんだんと崩れ始めました。
そんな中、石と化したヨルダがいるカプセルの並ぶ部屋では。

カプセルから光がヨルダに向かっていっせいにほとばしり出たのです。
その光で力を取り戻したのでしょうか。
ヨルダの戒めは解け、ふたたび動けるようになりました。
ヨルダはあたりを見回し、ふと自分の手を見ると。
今までの白さは失われ、影のように真っ黒になっているのに気が付きました。
本当に自分の手かどうか確かめるように、ヨルダは手を動かしてみました。

以前の透けるような白さは失われ、全身が影のように真っ黒になってしまったヨルダ。
これはイコに倒されてカプセルに戻ったこどもたちの影が全てヨルダに乗り移ってしまったからなのでしょうか。
状況がよく飲み込めないヨルダでしたが、お城がどんどん崩れていっているのに気が付いて。
クイーンのいる場所、玉座のある大広間へと足を進めます。

大広間にはクイーンの姿はありませんでした。
床の上に倒れたまま動かないイコの姿を見て、ヨルダはすぐに何が起こったかを知りました。
イコがクイーンを倒してくれたのです。ヨルダのために。
ヨルダはイコを抱きかかえるとお城の出口へと向かいました。

その間にもお城はどんどん崩れていきます。
2人で進んだ全ての場所がその役目を終えたように静かに崩れていくのです。

ヨルダは船着き場につきました。
小舟があるのを確認して、ヨルダはそっとイコを小舟に乗せました。
そして、海に向かって押し出したのです。
小舟はするすると海に向かってすべりだしました。
その後を目で追いながら、ヨルダはそっとつぶやきました。

さよなら

どこまでも続く砂浜がありました。
いつしか雨はやみ、太陽の光がもどってきていました。
砂は透けるように白く、波がおだやかにうちよせています。
そんな砂浜に、一そうの小舟が打ち上げられていました。
中にはイコがヨルダに乗せられたときの姿のままで横たわっていました。

しばらくすると。
イコは目を覚ましました。
自分が小舟に乗っていること、今までいた場所と全然違う場所にいること。
イコはどういうことなのかさっぱりわかりませんでした。
しばらくぼ〜っとしていたイコでしたが、突然我に返りました。
ヨルダは、ヨルダはどこにいるんだろう。
ヨルダの姿はイコのそばにはありませんでした。
海の向こうを見やり、イコは全てを理解しました。
ヨルダが自分を小舟に乗せて逃がしてくれたにちがいない、と。

イコは小舟から降りました。
砂浜の白さを見て、イコはヨルダのことを思いました。
なんだかわからない気持ちがこみ上げてきて、イコはがむしゃらに砂浜を走り出しました。
泣きたいのか、泣いてもいいのか、そんなこともわかりません。
ただただ今は走ることをやめられない気持ちです。
そんな風に走っていると。

イコは前方に何かがあるのに気づきました。
砂浜の白さと見分けがつかないほど白い何か。
イコの心臓がドキドキ音を立てるのがはっきりわかります。

イコは駆け出したいのを押さえながらその何かの方へゆっくりと歩きました。
砂浜の白さがまぼろしを見せているのかもしれない、いや、あれはまぼろしなんかじゃない。

それはイコと同じように、砂浜に打ち上げられたヨルダの姿でした。
今までのように白く透きとおるようなヨルダ。
ヨルダは穏やかな顔で目を閉じ、ぴくりとも動きません。
眠っているのかな、それとも。
イコが確かめようかどうしようか迷っているうちに、その目がうっすらと開きました。
ヨルダは生きていたのです。

しばらくヨルダと2人、ぼんやりと砂浜にたたずんでいたイコですが、これからどうしようかと思い出しました。
村へ帰るにしても、イケニエとして出されたイコが帰ってきて、はたして村の人たちが歓迎してくれるでしょうか。
ヨルダのことにしても、お城に住んでいた、あきらかに普通の人とは雰囲気の違うヨルダを受け入れてくれるとは思えないのでした。

しばらく考えているうちに、あたりに霧が立ちこめてきました。
イコは意を決したように立ち上がりました。
行こう。
イコが差し出した手を、ヨルダはいつものように握りました。

2人で、2人だけで、どこか遠くで暮らそう。

2人の姿は霧の中に消えていきました。
お城も崩れ、クイーンを継ぐ者も、ツノの生えた子供もいなくなりました。
全ては人々の記憶から消えていくことでしょう。

こうして1つの物語が終わりをつげたのでした。
←BACK


もうひとつのエンド(すいかエンド)を見たい方はこちら