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クイーンとの闘い

枠外はセーブポイント名及び実際にゲーム中でキャラが語る言葉です(2周目)
階段の上の入り口から中に入ると、そこは大広間でした。
背もたれの高い、立派なイスが置いてあります。
イスには誰も座っていませんでした。
それでもイコは慎重にゆっくりとイスに向かって進みました。
たぶん、これがクイーンの玉座なのでしょうから。
玉座の前まで来ても、後ろにまわってみても、誰もいる気配はありませんでした。
大広間はお城の他の部屋と同じく静まりかえっています。
仕方なくイコはイスを背にしてその場を立ち去ろうとしました。
すると。
声に驚いたイコが振り返ると、今まで空だった玉座にクイーンが座っていました。
イコはカッとして玉座に向き直り叫びました。
ヨルダをどうするつもりだ!
あきらめろ もう手遅れだ・・・
わたしの この躰も
もう長くない
ヨルダにはわたしの意志をついで
城の主として復活してもらう
それがあの子の宿命 いわば
ヨルダはわが”魂の器”なのだ
つぎに目覚めたそのときには
もはや おまえなど憶えてはいまい
さぁ
その剣をおいてたち去りなさい
あの子もそれを望んでいたぞ
ヨルダが、自分が立ち去ることを望んでいたと聞いて、イコはうつむき、くちびるをかみしめました。
しかし、意を決したように剣を構えてまっすぐにクイーンを倒そうと走りだしました。
クイーンはいきなりすさまじい力を放出しました。
その勢いでイコの身体は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられました。
片方のツノが折れ、床を転がっていきます。
イコはぐらぐらする意識を必死で押さえ、よろよろと立ち上がり剣を構えました。
クイーンの周りは障壁で覆われています。
剣をふるっても、障壁にさえぎられクイーンまでは届かないかもしれません。
それでも、イコは剣を手に再びクイーンに突進しました。
障壁に突き立てたとたん、剣は遠くへはじきとばされてしまいました。
イコはきょろきょろと剣の行方を追います。
あった!イコはすばやく剣の元へとかけよります。
しかし、剣をとるより先にクイーンの発した波動が部屋中を覆い尽くし、イコはその場で石と化してしまったのでした。
再びイコはクイーンと対峙していました。
イコを石にしてしまった波動を、クイーンは一定の間隔で繰り出してくるようです。
そして、その波動は剣を持っていればふせぐことができるようです。
イコはクイーンの障壁に剣を突き立てました。
はじかれてとばされる剣。
イコはすばやく剣の元に移動し、剣を握りました。
間一髪。クイーンが波動を繰り出しましたが、イコは剣のおかげで石にならずにすみました。
また障壁に剣を突き立てれば、剣ははじきとばされるでしょう。
今度とばされた先がもっと遠くで、波動の放出に間に合わなかったら。
イコは必死で考えました。
考えている間にも何度かイコの上を波動が通りすぎていきました。
そのとき、イコは奇妙なものを目にしたのです。
広間には石像が2体置いてあります。
どうも、石像にも波動をさえぎる力があるらしく、波動が過ぎ去るたびに白いバリアのようなものが見えます。
イコはふっきれたようにクイーンの元に駆け寄り、また剣を障壁に突き立てました。
そして剣がはじき飛ばされると。
イコは剣の行方を追う前に石像の後ろに隠れたのです。
すぐにクイーンの波動がイコに迫ります。
しかし、思ったとおり、石像のおかげでイコは石にならずにすみました。
イコはきょろきょろと剣を探します。
あった。でも少し遠い位置です。
石像のそばから離れたとたん波動にやられるかもしれません。
困ったイコがうつむくと、石像に取っ手のようなものがあるのが見えました。
この石像は動かすことができるようです。
というわけで。
剣をとばされるたびにイコはずるずると石像を動かして、できるだけ剣のそばまで移動するようにしました。
緊迫した闘いの中で、とってもおまぬけな光景のようでしたが、命にはかえられません。
そして、4回剣を障壁に突き立てると。
いつものように剣はとばされましたが、やっと障壁がなくなりクイーンがむき出しの状態になったのです。
次が勝負だ、とイコは思いました。
そして、今までよりもはるか遠くにとばされてしまった剣を慎重に取り戻すと、しっかりと握りしめました。
一度、波動が自分の上を通り過ぎるのを待った後、思い切って剣をふるうと。
剣は深々とクイーンを刺しつらぬきました。
クイーンは苦しそうな声で言います。
あの子は けっしてこの城から
出ることができないのだ・・・
たとえ おまえが わたしの・・・
命を 奪ったとしても・・・
クイーンはすさまじい力を放出して散っていきました。
反動でイコの身体はふきとばされ床に叩きつけられました。
もう片方のツノも折れ、床を転がっていきます。
イコはそのまま意識を失ってしまいました。