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正門での別れ

枠外はセーブポイント名及び実際にゲーム中でキャラが語る言葉です(2周目)
正門前の庭に出ると、両方の門がきらきらと白く輝いているのが見えました。
イコとヨルダがその前に立つと、ヨルダと門が反応してすさまじい光がほとばしりでました。
そして、門はゆっくりと開き、対岸へと通じる橋がかかりました。
イコは嬉しさでとびあがらんばかりでしたが、ヨルダの方は、門を開けることで力を使い果たしてしまったのでしょうか。
ぐったりとその場に座り込んでしまいました。
イコは肩で息をしながら座り込んでいるヨルダが心配でしたが、早くお城から逃げ出したいという気持ちをおさえることができませんでした。
ヨルダの手をつかみ、いつものように思い切り走ってしまったのです。
弱っているヨルダはイコの勢いについていくことができず、手を離してしまい、またぐったりと座り込むのでした。
イコは困ったように立ちつくします。
早くしないと、またクイーンが現れるかもしれません。
イコはとりあえず自分だけ対岸まで橋を渡ってみました。
対岸には見慣れた石像の門があり、その門を開けないことには先に進めないようでした。
門を開けるにはヨルダの力がどうしても必要です。
イコは対岸からヨルダに向かって大声で呼びかけてみましたが、ここまで来る体力はないようでした。
仕方なくイコは正門に戻り、橋を1ブロックずつ進んではヨルダを呼んで、自分の方に来させるようにしました。
そうすると、ヨルダはそろそろとイコの方へ歩いていくことができたのです。
ヨルダの手をとってゆっくり歩いて橋を渡ってやればよさそうなものですが、気持ちがはやっているイコは、そんなことを思いつきもしなかったのです。
そんな風に2人は橋の真ん中まできました。
すると、その先にはどんなに呼んでもヨルダは来ようとしないのです。
何かがヨルダの足をとめているようでした。
仕方なくイコがヨルダの手をとって真ん中より向こうへ連れて行こうとすると。
いきなり橋が真ん中から左右に分かれて縮みはじめました。
その衝撃でヨルダは正門側へ、イコは対岸側へと分かれてしまいました。
2人の間はどんどん離れていきます。
イコは思い切ってヨルダの側へジャンプしました。
が、ヨルダの側にたどり着くことが出来ず、イコの身体はそのままはるか下の海へと吸い込まれていってしまいました。
再チャレンジ。
橋が真ん中から分かれ、イコとヨルダは見る見る間に離ればなれになっていきます。
ヨルダのことも心配なイコでしたが、早くお城から逃げたいという気持ちの方が勝ってしまったのです。
イコは対岸へ向かって全速力で走りました。
橋がなくなるより前に対岸にたどりつけたイコでしたが、石像の門ががっちりと閉まり、先へ進む者を阻んでいます。
イコは門を叩いたりジャンプしたりしましたが、その甲斐はなく。
橋は見る間に石像の門の下に吸い込まれてしまい、足場をなくしたイコは海へと落ちていってしまったのでした。
再々チャレンジ。
橋が中央から分かれ、ヨルダが正門の方へ遠ざかっていくのを見たイコは思い切ってヨルダの方へジャンプしました。
距離が足りなくて海に落ちそうになったイコの手を、すんでのところでヨルダがしっかりつかみました。
最後の力を振り絞るようにヨルダはイコの身体を引き上げようとします。
しかし。
ヨルダの背後から影がせまってきました。
影はみるみるヨルダを包み込み。
ヨルダの手から力が抜け、イコは海へと落ちていきました。
そんな2人をクイーンが背後から見つめていて。
ヨルダはイコに小さく呼びかけました。
今までのいい天気がうそのように雨が降り、雷がとどろきはじめました。
正門のある崖の下には何基か檻のようなカゴが吊る下げられています。
そのカゴの1つの上でイコは意識を取り戻しました。
カゴのおかげで海まで落ちずにすみ、命拾いをしたようです。
イコはゆっくりと起きあがりました。
そして、またお城に戻ろうと心を決めるのでした。
力を振り絞ってイコを助けようとしてくれたヨルダを救い出すために。