ICO
正門の周りの城壁(東側)〜中庭〜シャンデリアの間(再び)

枠外はセーブポイント名及び実際にゲーム中でキャラが語る言葉です(2周目)
ここではもうやる事がなさそうです。
イコはヨルダと一緒に闘技場から出て再び城壁を戻り始めました。
ここは前も通ったのですが、とても高くて見晴らしがよく、風も気持ちよくふいています。
イコはまたヨルダのことを忘れて思い切りかけだしてしまいました。
城壁の曲がり角の所まで来たとき。
いやな雰囲気を感じてイコが振り返ると、置いてきてしまったヨルダのまわりに影が集まっていました。
しまった!と思ったイコはヨルダの方にかけだそうとして。
ふとまわりを見回すと、ヨルダを引きずり込むための影の穴はどうやらイコがいる側にあるようです。
それなら、とイコは覚悟を決めました。
イコが見守っている中、影の一体がヨルダをかかえあげ、飛び立ったかと思うと。
イコの読みどおりまっすぐイコのそばにある穴の方へ向かっているようでした。
影ははるか高いところを飛んでいて、影の目とヨルダの白い姿が空にとけてきらきらと光っているのが見えました。
なんてきれいなんだろう、とイコは思う一方、これからはじまる闘いの為に、ぎゅっと剣を握りしめました。
そして、影がヨルダを穴の中に引き入れようとした瞬間。
イコはヨルダを引っ張り上げ、影に斬りつけました。
木ぎれのときとは違い、剣だと拍子抜けするくらい影を倒すことができます。
イコはあっという間に影を撃退してしまいました。
城壁から続く城内への入り口の場所は高い塔のようになっていて、ハシゴを登ってはるか上に入り口があるようです。
イコはハシゴを登って入り口から入ってみようと思いました。
高い高いハシゴを登って。
入り口の場所に着いたとき、イコは、さあヨルダをどうしようと考えました。
この入り口の中が行き止まりなら、ヨルダに無駄にハシゴを登り降りさせてしまうことになります。
しばらく考えたのち、イコは1人で中に入ってみることにしました。
するとまたいやな雰囲気が感じられて。
あわてて入り口から飛び出したイコが見たのは、ハシゴの真下に出現した影の穴にヨルダが引きずり込まれる光景でした。
イコは大慌てでハシゴを飛び降りましたが、時すでに遅し。
影が城中を覆い尽くし、イコも影に引きずり込まれていきました。
イコは城内への入り口の高いハシゴの下に立っていました。
ハシゴの上には入り口があるようです。
イコは1人でハシゴを登り入り口についた後、ヨルダをどうしようかと考えました。
しばらく考えた後、イコはヨルダを呼びました。
ヨルダは一段一段ハシゴを登って、やっとイコの元へ来ました。
イコとヨルダは一緒に入り口から中へ入りました。
部屋の中は張り出しの行き止まりになっており、レバーがありました。
イコがレバーを引くと中庭の上がっていた跳ね橋が降りてきて繋がりました。
他にやることもなさそうなので、イコとヨルダは部屋を出てハシゴを降りることにしました。
先に下に降りたイコは何も考えずに上を向いてヨルダを呼びました。
ヨルダはいつものようにイコの呼びかけに応じてハシゴを降りてきます。
とたんにイコの顔が真っ赤になりました。
ハシゴがあまりにも高いので、降りてくるヨルダを見上げると...丸見えなのです。
イコは首をぶんぶんと振って下を向いたままヨルダを呼び続けました。
ヨルダが降りてくると、イコは恥ずかしさを隠すようにヨルダの手を乱暴に引っ張って城内に入りました。
そしてそのまま今降りてきた跳ね橋を渡りました。
跳ね橋の向こう側は、ずいぶん前に通ったシャンデリアの間へと続く入り口があります。
シャンデリアの間に入って1階に下りれば下の中庭に出られますが、それではまた正門に戻るだけです。
正門の半分は光り輝いていますが、たぶんもう片方も作動させなければ外へ開くことはないでしょう。
このまま進んでもぐるぐる回ってしまうだけです。
どうしたらいいものかと、イコはあたりを見回しました。
ふと、手すりのあたりでぶら下がっているロープが目に入りました。
ロープの下の方にある部屋の窓は割れています。
もっと下の方まで下りていれば、ロープを使って部屋の中に入れそうです。
イコはなんとかしたいとロープの先端をたどって見上げました。
ロープの上の端はイコのはるか頭上にピンと張られています。
これを切ることができたら、ロープはもっと下の方まで垂れ下がりそうな気がします。
床には1つ箱が置かれています。
でも、この箱の上からでもロープを切ることは難しそうです。
考えながら、ふと横を見ると、ヨルダが自分をじっと見つめているのがわかりました。
突然、イコの脳裏に先ほどの長いハシゴを下りてくるヨルダのシーンがくっきりと現れて。
真っ赤になったイコは慌てて頭をぶんぶんふりました。
そうしたら、いい考えが浮かんだのです。
イコはロープを切るためというより、ヨルダのシーンを頭から振り払うためにきびきびと動き出しました。
箱を壁の装飾の柱の所まで押していき、箱を足場に柱の上に登り。
そこからジャンプして、ジャンプしながらロープを切るのです。
不器用なイコのこと、何度も何度も失敗したのですが、かえって恥ずかしい記憶を頭から振り払うには好都合でした。
やっとのことでロープは切れ、イコが思ったとおり下に長くぶら下がりました。
ヨルダの顔を見ると、また記憶がよみがえってきてしまうのを避けるかのように、イコは下を向いたままシャンデリアの間の入り口まで走り、
下を向いたままヨルダを呼びました。
まだドキドキが治まらないイコでしたが、この先でそれがいっぺんに吹き飛ぶ思いをすることになるのです。
イコはヨルダと共にシャンデリアの間に入りました。
彼らは2階部分から入ったのですが、1階部分の出口から外へ出るには2階部分の壁際をぐるりと回り、
坂道となっている落ちた通路をたどって1階部分へ降りて出口から外へ出ないとならないのです。
部屋の中は静まりかえっていましたが、これから起こる事を予測したように、イコの身体からは汗がふきだし、
ヨルダの手を握る力も強くなるのでした。
シャンデリアの間に入っていくらも進まないうちに。
影が出てきました。それもすごい数です。
闘っていたらその隙にヨルダをさらわれてしまいます。
イコはヨルダの手を握りしめて思い切りかけだしました。
しかし。
影の数が多すぎます。
そして2階から1階へ下りる坂道でどうしても走るスピードが鈍り、ヨルダは影たちの手におちてしまうのでした。
影の穴ははるか下のほうで。
一度ヨルダをさらわれたら、もうイコになすすべはありません。
繰り返される悪夢のようにイコの意識は何度も影の中に落ちていってしまうのでした。
何度目かにシャンデリアの間の入り口の前に立ったとき。
(イコには影に飲み込まれたときの記憶はありませんが、なんとなく同じことを繰り返しているような気がしたのです)
このままでは絶対に先に進めないとイコは思いました。
やり方を考えないと。
イコは必死で考えました。
一番最初にこの部屋へ入ったときは石像の扉が閉じており、それを開くときの力で影を消すことが出来ました。
でも今回は扉は開いてしまっているので、この手が使えません。
イコはなおも考えました。
角を曲がろうとするとヨルダをさらわれてしまう。角を曲がらずに行くことが出来たら。
一瞬、イコの脳裏にある考えがひらめきました。
だめかもしれない。でも。
イコは大きく息をすって、ヨルダの手を握りしめ、シャンデリアの間へと入っていきました。
2人が先へ進んでいくとすぐに。
大勢の影たちが現れました。
いつもと同じようにイコはヨルダの手を握りしめたまま全力で走りました。
部屋の反対側まで走りきったとき、今までは下へ下りる為に角を曲がったのですが。
今回はイコは角を曲がらずそのまま反対側の出口から外へ走り出たのです。
試みは成功しました。
部屋の外までは影達は追ってきません。
イコはその場にペタンと座り込みました。
身体がぶるぶるふるえて止まりません。
その後傍らにソファがあるのに気づき、イコはヨルダを呼び寄せしばしの休息をとることにしました。
先へ進むには、また影がわらわらといるあの部屋ほ突っ切らねばならないのです。
イコはずいぶん長い間眠っていたようです。
目が覚めたときにはシャンデリアの間を走り抜けた直後に止まらなかったふるえもおさまっていました。
イコはソファから立ち上がり、ヨルダの手をとって再びシャンデリアの間に入りました。
部屋に入ってすぐに先ほどから出現していた影たちがいっせいに襲いかかってきました。
その中を今度は下に向かって1階に向かって走り抜けるのです。
イコはヨルダの手を必死でつかみ、そのまま坂をかけおりました。
出口に向かって。
気が付いたとき、イコとヨルダは外に飛び出していました。
影をやり過ごして先に進むことに成功したのです。
イコの身体を怖さともうれしさともつかないふるえがまた襲いました。
とにかく先へ進むことができた。
イコは自分の身体をなだめるように大きく息を何度もすっては吐き、自分に言い聞かせるのでした。
とにかく先に進むことができた。そしてこの先にも進むしかない。